2022.08.05
日本の住宅が短命であるという考えは広く普及しています。多湿な気候、金融機関が古い家に融資を渋るなど、その理由は多岐にわたります。
しかしながら、これら全てが真実を全うしているわけではないと私は感じています。実際に考えてみると、本当に日本の住宅は30年程度の寿命しかないのでしょうか?世界最古の木造住宅が日本に存在し、また田舎に行けば築100年以上の家が数多く現存しています。
私がハウスメーカーの営業として働いていた頃、中古住宅を検討している人に対してこんな話をしていました。
「15年経過した家なら、あと10年で建て替えを考えなければならないでしょう。そのとき、ローンが完済していれば問題ありませんが、残っている場合は新たなローンを組む必要があります。その時点であなたの年齢は何歳ですか?定年後もローンを抱えることになるのです。また、15年経過した家なら、水回りの交換が必要になるでしょう。そもそも、前の住人が使っていた家にそのまま住むのは嫌ではないですか?最低でも改装費用が必要になります。それならば、新築を購入する方が経済的にも精神的にも良いのではないでしょうか?」
このような話をすると、建て替え必要性が公にされていることもあり、多くの人が不安に感じるものです。そして、新築を選ぶ結果となるのです。
その結果、耐久性が十分にある住宅であっても、25年経過すると価値が認められず、邪魔者扱いされ、解体を望む状況が生じています。
しかし、ここが重要なポイントです。我々にはまだ数多くの価値あるものが残されています。
日本の住宅の短命化という現象には、一つ大きな要因があります。それは、新築住宅の需要を維持するためです。
新築住宅を販売する業者にとっては、古い住宅が耐用年数を超えてもまだ価値があると認識されると、新築住宅の需要が減少する可能性があります。そのため、新築住宅の販売を続けるためには、一定の期間が経過したら新築住宅に買い替えるという社会の常識を作り上げることが重要となります。
その一方で、このような短命化の常識が確立されてしまうと、その住宅が本来持つ耐用年数を超えても、家自体が邪魔者扱いされ、解体を求められることが多くなります。
しかし、私たちはここで一歩立ち止まり、その常識を再評価するべきです。我々が日常的に見てきた古い家は、実際にはまだ十分に価値があるのかもしれません。一方、新築住宅も住むことで中古住宅となり、その価値は住んでいる人々によって作り出されます。
新築だけが住まいでないということを理解し、中古住宅の価値を見直すことで、私たちはより多様で持続可能な住環境を作り出すことができます。新築住宅だけを選択肢にするのではなく、中古住宅も含めた多様な選択肢を考えることで、あなた自身の生活をより豊かにすることができるでしょう。
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